PORTABLE ESPRESSO MAKER PROJECT
荒井鉄工所プロジェクト第一弾であるエスプレッソメーカープロジェクト。
2022年春からはじまった構想は、ものづくりの人々との素敵な出会いを通して、徐々に形になっていきました。
目指したのは、珈琲屋ならではの本格的なエスプレッソメーカー。
そしていま、プロジェクトは最終試作機の段階に。そんな本プロジェクトの歩みを紹介します。
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世界基準のエスプレッソメーカーに
こだわった結果、最終的な形はレバー式のエスプレッソメーカーになりました。しかもこれは、SOL'Sのお店でも使っている業務用レバー(ポルタフィルター)と同じ規格です。フィルターの世界基準は58ミリで、どのメーカーのエスプレッソマシンでも、基本的にはこの規格でコーヒー豆をタンピングして抽出します。同じ規格のレバーだから、他のプロ仕様のメーカーのものを使うこともできるし、家に高価なエスプレッソマシンがなくても、プロ仕様を楽しめてしまえるという。しかも、市販の他メーカーのレバー式エスプレッソメーカーは、58ミリではないものがほとんどなんです。 6月中旬に、最後の試作機が出来上がる予定です。味や抽出はもちろん、メンテナンス性や耐久性の最終チェックも行います。最近はヨーロッパでこういったエスプレッソメーカーが出始めているので、急がないと、と焦っています(笑)
ものづくりのプロたちとの出会い
補助金 の申請が通ったタイミングで、友人に誘われ、たまたま燕三条に行くことになりました。燕三条は、金属産業で世界的に有名な土地で、そこの職人さんたちといっしょにエスプレッソメーカーをつくれたらいいなと思ったんです。けれど、商工会議所の人に会いに行ったら「こういうエスプレッソメーカーは鋳物だから燕三条の金物とはちょっと違う」と言われて困ってしまって(笑)。 それでも「ものづくりをしている若い子たちを紹介するよ」って、タダフサという包丁屋を訪ねたときに言ってもらえて、ドッツアンドラインズという会社を紹介してもらいました。 ドッツアンドラインズは、燕三条の職人さんや工場と、オーダーしたい顧客との間に入って、両者を結びつけるという仕事をしている集団でした。社名の通り、点と点を線で繋いでいくという。ワンストップで、製品の開発や設計、デザインやマーケティングまで行うこともある。そんな彼らが「できるよ」と言ってくれました。
珈琲屋がつくるエスプレッソメーカーを
1年ぐらいの開発期間でつくれる、金属関係のコーヒー製品はないだろうかって、探していたんです。焙煎機の開発は数年かかるプロジェクトでしたし、その間に荒井鉄工所の売上がないと、助成金 の関係でも問題があったりして。 その頃に、イタリア製のマキネッタという直火式エスプレッソメーカーに思い至ったんです。「マキネッタはいつもキャンプに持っていきますよ」というスタッフの声や「家でも使ってるよ」というお客さんの話も聞いたりして「これいいじゃん!」って思ったんです。 それで試しに買ってみたんです。いいなと思った点は、家でも外でも、どこにいても使えること。金属製品だから壊れにくく、消耗品もゴムを替えるくらいだったこともよかった。 それでも、美味しくないわけではないけれど「これをエスプレッソと言えるのか?」という思いが残りました。本格的なエスプレッソに比べると薄いし、説明書にも正確なレシピが載っていない。アルミ部分が熱くなるので怪我の心配もありました。それならば、珈琲屋ならではのエスプレッソメーカーをつくろう、と。電気を使わないポータブルのエスプレッソメーカーとして、補助金 申請をしたんです。